IT部門のリーダーなら、誰もがこのパターンをよくご存じでしょう。あるチームが表計算ソフトでレポートを作成します。別のチームは、同じ問いに答えるために少し異なるロジックを使ったワークフローを構築します。あるダッシュボードが3つの部門で共有され、1週間も経つと、その基となる数値がどこから来たものなのか、誰も確信を持って説明できなくなります。
業務負荷を軽減するどころか、セルフサービスはいつの間にか手作業の形を変えたものになってしまいます。正体の分からないロジックを追跡し、重複した作業を突き合わせ、誰も責任を持ちたがらない質問に対応するといった作業です。
セルフサービスそのものがリスクだったわけではない
このような状況を見ると、管理をさらに厳しくすべきだと考えたくなるかもしれません。つまり、開発に関わる人を減らし、より多くの依頼を中央のチームに集約し、リリース前の承認プロセスを増やすということです。そう考えるのも無理はありませんが、それでは根本的な問題は解決できません。
セルフサービスがうまく機能しないのは、アクセス、品質、ドキュメント化、所有権に関する共通ルールがない場合です。こうしたガードレールがなければ、スピードを上げても意思決定が早くなるわけではなく、表計算ソフトや共有ドライブのあちこちに混乱が広がるだけです。
本当の問題は、多くの組織にこれまで2つの極端な選択肢しか示されてこなかったことです。すべてを厳しく管理するか、誰もが好きなものを自由に作れるようにして、全体が何とかうまくまとまることを期待するかのどちらかです。どちらの方法もスケールアップには対応できません。
IT部門は「検問所」ではなく「舗装された道」
データを一元化すること自体は、決して難しいことではありませんでした。本当の課題はラストマイル、つまり、そのデータをビジネスが実際に信頼できる意思決定や行動へとつなげることです。このギャップを埋めるということは、業務の進め方を決めるあらゆるルール、計算、例外をIT部門が管理するという意味ではありません。
IT部門が信頼できるアクセス、承認済みのワークフロー、再利用可能なテンプレート、構築状況を把握できる可視性といった「舗装された道」を整備し、一方で、実際の業務に最も近い実務担当者が、その上で使われるビジネスロジックを管理し、必要に応じて調整するということです。
この役割分担によって現場における「ガバナンス」の意味も変わります。ガバナンスは、すべての依頼が1件ずつ通過しなければならないゲートではなく、ロジックが常に見える状態にあり、理解しやすく、再現可能で、監査可能になるよう、あらかじめ組み込まれた仕組みになります。質問に答える最も速い方法が、同時に最も信頼できる方法でもあれば、アナリストにルール遵守を強制する必要はなく、IT部門も確実に機能するかどうかを確認するためにすべてのワークフローを逐一点検する必要はありません。それが自然な仕事の進め方になるのです。
自由とガードレールの両立
ガバナンスの効いたセルフサービスとは、スピードと管理のどちらかを選ぶことではありません。双方が互いを信頼するために本当に必要なものを、それぞれに提供することです。
ガバナンスの効いたセルフサービスによってアナリストは次のものを利用できます。
- 信頼できるデータへのアクセス
- 再利用可能なテンプレートとワークフローパターン
- 共有と自動化に関する明確なルール
- ロジックをドキュメント化する方法
- ワークフローを拡張する際のサポート
また、IT部門には次のようなメリットがあります。
- 誰が何を構築しているのかを把握できる可視性
- アクセスとデータ利用に対するガバナンスの強化
- 個別対応が必要なリクエストの削減
- 社内に散在する不明瞭なロジックの削減
- 個々のワークフローからチーム全体のプロセスへと発展させるための明確な道筋
実際の運用ではどうなるか
Papa Johnsの財務チームは、ガバナンスの効いたセルフサービスの実践例として参考になります。同チームは世界規模で複数通貨を扱うフランチャイズ事業において、フランチャイズへの請求、ロイヤリティの計算、アグリゲーターへの手数料、SOXに準拠した期末決算など、リスク管理が重要となる大量の業務を担当しています。
従来、こうしたロジックの多くは表計算ソフトや個別のツールに存在し、基幹システムから切り離されていたため、ワークフローが変更された際の監査が困難でした。
Papa Johns社はAlteryxを活用し、フランチャイズの請求および照合プロセスをGoogle BigQuery環境上で直接実行されるガバナンスの効いたワークフローとして再構築しました。これにより、データを別の場所にコピーするのではなく、データが存在する場所でそのまま計算を実行できるようになりました。
Alteryxを使用すると複雑な計算も可視化され、再現可能かつ監査可能になります。財務部門のユーザーは、前月比の数値比較などについて自然言語で質問し、即座に回答を得られるだけでなく、ロジックがどのように適用されたかも確認できます。IT部門は、ボトルネックになることなくガバナンスを支援できます。
事業部門とIT部門の連携が成功を拡大するうえで重要な鍵となりました。エンタープライズデータおよびコーポレートソリューション担当副社長のMichael Wyant氏とそのチームは、ガバナンスとデータパイプラインを担当しています。財務チームはビジネスロジックを管理し、要件の変化に応じて調整することができます。
それぞれが最も深く理解している領域を担当しています。
その結果、財務部門が信頼でき、IT部門も自信を持って支えることができ、さらに社内の他の重要なプロセスにもテンプレートとして展開できるワークフローが実現しました。これこそが、ガバナンスの効いたセルフサービスが目指す成果です。
予期せぬ問題を減らし、信頼を高める
そのためにIT部門がアナリストの業務を遅らせたり、アナリストがIT部門を迂回して作業したりする必要はありません。セルフサービスが共通の基準に基づいて構築されていれば、アナリストはチケットの処理を待つ必要がなくなり、IT部門は不明瞭なロジックを追跡する必要がなくなります。そして、「この数値はどこから来たのか?」と聞かれたときにも、ビジネス部門は明確な根拠を示すことができます。
Alteryxはビジネスチームがガバナンスの効いた環境で自らワークフローを構築・調整できるようにすると同時に、IT部門には、それをエンタープライズ規模で支えるために必要な可視性、制御機能、セキュリティを提供することで、このモデルを実現します。
目指しているのは、管理すること自体を目的に統制を強化することではありません。予期せぬ問題や手戻りを減らし、ビジネスが本当に信頼できる答えをより多く得られるようにすることです。
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