金融業界におけるAIブログ

AIが金融業界で成果を上げられない本当の理由

テクノロジー   |   Michael Peter   |   2026年6月4日 読了時間の目安:6
読了時間の目安:6

金融業界で働いている方であれば、この1年ほどの間にAIツールを渡されたことがあるのではないでしょうか。表計算ソフトのコパイロットかもしれませんし、決算業務に組み込まれたツールかもしれませんし、あらゆる数値に関する質問に答えるとうたうチャットボットかもしれません。しかし正直なところ、火曜日の仕事はそれほど変わっていないかもしれません。

あなたのやり方が間違っているわけではありません。ツールが壊れているわけでもありません。欠けているのは誰もスライドで説明しなかった部分です。AIの価値は、その土台となる業務やデータの質によって決まります。そして現実には、その土台が十分に整備されていないことがほとんどです。

信頼できないのに自信満々なAIの回答

よくある光景です。誰かがAIアシスタントにもっともな質問をします。「先月、東部地域の利益率が変動したのはなぜですか?」— すると、もっともらしい回答が返ってきます。自信に満ちています。整理されています。場合によっては、箇条書きできれいにまとめられていることもあります。ただし問題は、それが正しいかどうか分からないことです。どのデータを参照したのか、現在の原価配分ルールを使用したのか、それとも気づかないうちに前年度の会計カレンダーを使っていたのかが分からないからです。

そこで金融のプロであれば当然の行動を取ります。自分で確認します。つまり、AIによって作業が減ったわけではありません。むしろ手順がひとつ増えただけです。

これこそが、多くの金融向けAIが期待どおりに成果を上げられない、見過ごされがちな現実です。モデルに推論能力がないわけではありません。問題は、整理されていないデータ、文書化されていないルール、そして一人のアナリストの頭の中や、他の誰も開けないワークブックの複数のタブにしか存在しないロジックをもとに推論していることです。AIがそのギャップを生み出したわけではありません。ただ、その存在を無視できなくしただけです。なぜなら、今ではその不完全な土台の上でAIが判断を下しているからです。

McKinseyは、財務チームが実際に生成AIをどのように活用しているかを調査し、興味深い事例を発見しました。生成AIの導入が本格的に進んでいる一部の財務業務では、担当者がデータ処理に費やす時間を20〜30%削減し、その分の時間を本来注力すべき分析業務に充てていました。あるグローバル消費財メーカーでは、予算差異分析に生成AIアシスタントを活用した結果、手作業の負荷を約30%削減できました。これは確かな成果です。しかし、その成果を生み出した要因に注目してください。それは、「差異」の定義をチーム全体で共有し、あらかじめ整理されたデータを基盤として、特定の反復可能な業務にAIを適用したことです。AIが自らそれを理解したわけではありません。チームが、自動化できる状態まで整理された課題をAIに与えたのです。

成果を上げるワークフローを支えるもの

AIが成果を発揮する財務業務には、いくつか共通する特徴があります。それらは、明確な開始点と終了点があり、「ビジネスに関するあらゆる質問に答える」といった曖昧なものではありません。毎月同じ流れで繰り返される定型的な業務です。そしてキャッシュ、利益率、リスク、あるいはその後の意思決定に用いられる数値など、重要な要素と結び付いています。

ここまでは簡単に言えます。難しいのは、その土台として何が必要かという点です。AIがこうした業務で機能するためには、モデルがデータを見る前にそのデータが準備され、検証されている必要があります。何を含めるのか、何を除外するのか、どのように集計するのかといったルールは、チームが定義し、一貫して適用しなければなりません。ポリシーマニュアルを読んだことのないモデルに推測させるものではありません。そして結果が出た後には、その結果をたどれる必要があります。どの数値を使ったのか、どのロジックを適用したのか、誰が承認したのかを明確にできなければなりません。財務の世界では、このようなトレーサビリティは「あればよいもの」ではありません。監査人にも提示できる回答か、厳しい質問をしてこない相手にしか示せない回答か、その違いです。

同じワークフローの2つのパターンを考えてみましょう。1つ目は、AIが生データに直接アクセスし、推測したルールを適用して数値を算出するパターンです。もう1つは、まずデータをクレンジングして構造化し、その上でチームが実際に使用しているビジネスロジックを適用し、最後にAIが信頼できる基盤の上で処理を行うパターンです。前者は、何か問題が発生して原因を説明できなくなるまでは速く感じられるかもしれません。後者は会議の場で説明し、根拠を示せるものです。

実際のところ、AI活用を評価する際に問うべきなのはこの点です。回答がどこから導かれたのか説明できるか、そしてその説明が厳しく検証されても成り立つかどうかです。もし答えが「はい」であれば、それはスケールアップする価値があります。もし答えが「いいえ」であれば、AIを増やしても問題は解決しません。誤った答えをより速く生成するだけです。

月曜日に何から始めるべきか

だからといって、すべてをやり直す必要はありません。チームが築いてきたビジネスロジック、表計算ソフト、ルール、そして業務の実態に関する組織的な知識こそが、本当に価値のある資産です。その資産を、それらを理解していないAIのために捨てる必要はありません。必要なのは、そのロジックを管理可能で再現性のある形に整え、AIが有効活用できるようにすることです。

最も実践的な取り組みは、実は最も派手ではないものです。1つのワークフローを選びましょう。決算業務全体でも、「財務部門全体へのAI導入」でもありません。請求書照合、定期的な差異分析、毎月作り直しているレポートなど、二度と手作業でやりたくないと思うような、範囲が明確で繰り返し発生する業務を1つ選びます。まずはその業務のデータを整備し、ルールを明文化し、その上でAIを活用します。うまくいけば、本当に価値のあるものを手に入れられます。信頼できるワークフローと、次に取り組むべき業務についての明確な見通しです。

ここで、McKinseyが多くのチームで見てきた2つの落とし穴を紹介します。1つ目は、何かを始める前に完璧なデータを待ってしまうことです。そのようにしていると、いつまでも待ち続けることになります。その間に隣のチームは、あなたのデータが完璧になる前に3つのワークフローを実装しているでしょう。もう1つは、その逆です。例外処理や単発対応が入り組んだままのプロセスを自動化してしまうことです。断片化されたワークフローの上にAIを載せても、業務がシンプルになるわけではありません。混乱した状態に、自信満々な回答を返すレイヤーが追加されるだけです。重要なのはその中間です。まず1つの業務を標準化し、その後に自動化します。

本格的に取り組む前に、そのイメージを低リスクで確認したいのであれば、AI対応スターターキットがまさにそのために用意されています。AI対応スターターキットは、特定のビジネスユースケースでAlteryxをどのように活用できるかを実証するために作られた、事前構築済みのAlteryxワークフローと合成データセットです。これらは、分析可能なアウトプットを生成できるようデータを準備・構造化し、大規模言語モデル(LLM)などの外部AIツールによってさらに拡張できるようにします。これらは財務業務全体を実行するためのものではありません。しかし、実際に成果につながるワークフローの形を再現できるほど具体的に示してくれます。

問題は、あなたの机の上にあるAIではありません。その土台となる業務やデータです。まずは1つの業務についてその土台を整えましょう。そうすれば、AIがなぜ成果を上げられないのかと悩む必要はなくなります。

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