データサイエンスと機械学習の違い

テクノロジーの世界ですっかりおなじみの存在となった、「データサイエンス」と「機械学習」。どちらも、
ビジネスや業界のあらゆる分野での AI の運用を強化するものですが、両者にはどのような
違いがあるのでしょうか?

テクノロジーは、かつてないスピードで進化を遂げ、
世界中のあらゆる産業の発展を支える中心的存在となっています。ここ10年ほどの、
次世代型アプリに取り組むスタートアップ企業や、Google、Facebook、Netflixなどの
テックジャイアントの活躍により、データサイエンスと機械学習はすっかりおなじみの
存在になりました。

データサイエンスと機械学習は、混同されがちですが、両者の定義や用途にはいくつかの
根本的な違いがあります。ここではその違いについてご説明します。

データサイエンスと機械学習のいずれもが、人工知能(AI)の一部として
機能します。機械はAIを通じて、人間が経験や発見的手法に基づいて判断を下すのと同様に
意思決定を行います。そして機械のこうした体験はデータに基づいており、
ここで機械学習(ML)が本領を発揮します。つまり、人間は日々の体験から学び、
機械はデータから学びます。

データサイエンス vs 機械学習

機械学習に必要なデータは、ビッグデータから得られます。1つの
組織において短時間のうちに生成されるデータは、ペタバイト規模にも及びます。今日は
クラウドベースのストレージが普及し、データの保存は容易になりましたが、
こうしたデータをどのように処理し、より良いビジネス上の意思決定へとつなげるか、
ということが課題になっています。この実現において重要な役割を果たすのが、データサイエンスと
機械学習です。

最新のAIは、大量のデータを分析・処理し、人間の消費・行動パターンを明らかにし、
さまざまなビジネス上の疑問に答えることができます。
データサイエンスは、
機械で実行されるデータ分析を強化し、関連するアルゴリズムとモデルを作成するのに
必要なすべての情報を提供します。簡単に言えば、データサイエンスはさまざまな
アルゴリズム、プロトコル、手法を用いて生データから洞察を引き出します。

データサイエンスと機械学習のそれぞれの役割を知れば、その違いを容易に
理解できるようになります。

 

データサイエンスと機械学習の違い

データサイエンスと機械学習の実用的な用途は異なりますが、
どちらも日常的な活動(例えばオンラインショッピングのような1日に
何百万回も行われるような活動)に使用されます。

例えばサングラスを販売しているABCという会社があるとします。
そして、サングラスはABC社だけでなく、さまざまな競合他社からも入手できます。
購入希望者が初めてABC社のwebサイトを訪れ、
サングラスのラインナップを閲覧する際には、同社が提供するフィルターを使って、
自分の好みに合わせて商品を絞り込むでしょう。
一般的なフィルタのオプションには、サイズ、色、価格、
スタイルなどがあります。

サングラスをフィルタリングすると、条件に合致した3つの候補が
見つかりました。購入検討者はそれらの候補から1つを選び、
カートに追加するかもしれません。

そこでABC社のウェブサイトは、お客様の好みや膨大なビッグデータから得られた知見に
基づき、他のさまざまなオプションやおすすめを提供します。
例えば、「こんな商品もおすすめです」
「これを買った人はこんな商品も買っています」といった見出しで、
他の商品が紹介されるといった具合です。こうした「おすすめ」は、何百万もの購入履歴から収集された
情報に基づいています。

タブレットを購入するのであれば、新しいケースや充電ケーブルの購入も
検討するかもしれません。

このような提案により、お客様に役立つ製品を提示するだけでなく、売上の向上へとつながる
アップセルモデルを提供できるようになります。これが「データサイエンス」です。
データサイエンスとは、さまざまな疑問に対する答えを導き出すためのデータの収集、
ふるい分け、処理、実用的なトレンドやパターンの抽出、モデル作成の全プロセスを指します。そして
この「モデル」によって、お客様により良い選択肢を提供し、関連製品の
購入を促すことが可能になります。

このモデルこそが「機械学習」の役割です。データ
サイエンティストは、データを学習体験に変換するアルゴリズムを使用して
モデルを構築します。これにより、検索条件に基づいたおすすめをお客様に
提案できるようになります。このようなモデルによって、機械が他のお客様の購入履歴から
得た知識に基づいて、新規のお客様にどのような製品のオプションを提示すべきかを
学習することができます。機械は、提供された「経験」データに基づいて提案を
行うのです。

上記は、機械学習の応用例の一例ですが、医療、研究、小売、保険など、
あらゆる業界で機械学習が取り入れられており、そうした活用例は数百万ケース以上にも
及びます。

例えばフィンテック業界では、様々な行動を予測するために機械学習が利用されており、取引の
リアルタイム分析を通じて、不正行為を予測する複雑なパターンが
特定されています。また、ローンの申し込みプロセスにおいて、
個人の過去の金融取引を評価するためにも機械学習が取り入れられており、過去のローンの滞納データを
組み合わせることで、申込者が契約通りにローンを支払っていけるかどうかを
正確に予測することが可能となっています。

こうしたモデルは、データサイエンスのサイクルにおける機械学習の次の段階である、
データモデリングにおいても重要な役割を果たします。

モデルの良し悪しは、機械がどれだけお客様の購買習慣を学習できるかによります。
モデルが優れているほど、機械はより正確に将来の決定を
予測できるようになります。理想的な機械モデルは、ビジネスモデルと機械の学習プロセスを
確実に進歩させ、企業が目標とする成果を向上させます。

データサイエンスは、特定のパラメータに基づいて処理されたデータを可視化することで、
ビジネスの意思決定を強化します。機械学習は、アルゴリズムの学習と、
リアルタイムでのデータ処理から得られる学習によって、
その経験を強化することに焦点を当てています。そして、データは常に、
データサイエンスと機械学習の中心であり続けます。

データサイエンスと機械学習の比較

実生活への応用について理解したところで、次はデータサイエンスと機械学習の概念の
違いをご説明します。

 

データサイエンス 機械学習
データサイエンスは、構造化データ(名前、年齢、場所、住所
など)や、非構造化データ(ソーシャルメディアの投稿、
音声・動画ファイル、テキストなどの定性データ)からデータを抽出するプロセスやプロトコルを
中心に展開され、多様な分野と高度な分析をカバーします。
機械学習とは、処理されたデータをもとにコンピューターが学習し、プログラム
されていなくても特定の要件を満たした作業モデルを作成できるようにする
プロセスです。機械学習はデータ
サイエンス分野に含まれ、主に構造化データを利用します。
データサイエンスは、分析に関連するプロセスの全領域を含みます。
機械学習はデータサイエンスにおける特定のプロセスとなり、回帰や
監視クラスタリングなどの手法を用います。
データサイエンスは、機械ベースのアルゴリズムに比べれば
効率性は落ちますが、手作業で処理することも可能です。
機械学習は、データサイエンス無しには成立せず、モデルを作成するには、
データを収集、クレンジング、分析する必要があります。
データサイエンスは、AIのサブセットとして分類されるものではなく、それ自体が完成された1つのプロセスです。
機械学習はAIのサブセットであり、データサイエンスとAIをつなぐ
橋渡的な役割を果たし、データを処理
するたびに、常に進化します。ですので機械学習は、データサイエンスのプロセスにおける1つの工程だとも言えます。
データサイエンスは、データを分析し、企業が製品や顧客サービス
を改善するうえで有用なパターンやインサイトを発掘する目的で
使用され、ビジネス上のスマートな意思決定を促進させます。
機械学習は、データサイエンスによって発見されたパターンを学習経験として
処理し、それをもとに企業のプロセスに
応用できるモデルを作成し、これらのモデルにより、新規のデータを分類し、
これまでの経験に基づいて関連する予測を行います。
データサイエンスの応用範囲は広く、さまざまな分野で活用されます。
機械学習は、データサイエンスの一部であるデータモデリングの段階にとどまります。
データサイエンスは、企業が未知の問題を発見し、その解決に
取り組むことを可能にします。
一方で機械学習は、常に既知の問題に焦点を当て、関連するツールやテクニック
を駆使して、インテリジェントな
ソリューションモデルを考案します。

データサイエンスと機械学習のどちらを選ぶか

それでは、データサイエンスと機械学習のどちらを選ぶべきなのでしょうか?両方
活用すべきというのがその答えです。この2つの
プロセスは、互いに関連・補完し合う関係にあります。機械はデータがなければ経験を
積むことができませんし、データサイエンスの基準でデータを処理した方が優れた分析を行えます。
データサイエンティストや機械学習エンジニアなどの専門家は、
業務の質を高めるために、両分野に対する理解を深めていく必要があります。

AIが企業の成功に欠かせない存在となるにつれ、
データサイエンスや機械学習への注目度は高まる一方です。
また、AIに含まれる機械学習のサブセットである
「ディープラーニング(深層学習)」も急速に進化しています。人間の脳の神経細胞の仕組みをモデル化した
ディープラーニングは、デジタルなニューラルネットワークを利用して
動作します。ディープラーニングは、複雑なビジネスの課題の解決に向け、
多様なソリューションを提供します。ディープラーニングの代表的な活用例としては、自動運転が挙げられます。データの
情報源は常に拡大しており、それらのデータを収集・分析するニーズは今後
ますます高まっていくと考えられます。

データサイエンスと機械学習を企業で活用する方法

企業の競争力、重要性、生産性を維持するには、データサイエンスと
機械学習の活用が不可欠です。データサイエンスの原理の応用により
得られる洞察は、企業により良い未来をもたらします。正確な予測を通じて、
データに基づいた意思決定を行い、より良い成果を得ることが可能となります。企業内で、
大量のデータを持て余していたり、競合他社に遅れをとっていると
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