米国国税庁
業界:公共部門
部門:ビジネスインテリジェンス
地域:北米
自然言語プロセスの開発により、契約情報の誤りの特定や修正に費やしていた数千時間の作業時間を削減
調達契約時の情報の透明性と正確性を改善
概念実証を数日で完了
米国連邦政府は年間3.5兆ドル以上を支出し、570万件以上の調達契約を結んでいます。 2014年のデジタル説明責任及び透明性法(データ法)の制定・施行以来、納税者のお金がどこでどのように使われているかについての透明性の向上を目的として、あらゆる連邦政府機関が、標準フォーマットでの支出情報の報告を求められるようになりました。 政府全体でデータ標準を確立するというデータ法の影響を特に受けているのが、管理予算局(OMB)と財務省であり、データ法情報モデルスキーマ(DAIMS)などに沿って、 レポートや支払い情報を共通のデータフォーマットで報告する必要があります。
米国国税庁(IRS)は米国財務省の下部機関として、主に税の徴収および税法管理を担当しており、 同庁はそうした使命の支援に向け、民間企業と契約し、さまざまなサービスや製品を購入しています。 2019年に、米国国税庁はデータ法の順守に向けて、革新的なアプローチを特定するプログラムを開始しました。 Pilot IRS – DATA Act Improvementsと名付けられた同プログラムでは、以下の目標を掲げています。
今日の米国国税庁は、より少ない労力でより多くのことを達成しなければならないというプレッシャーにさらされています。 過去5年間で米国政府の契約量は年平均で約23%も増加しており、 米国国税庁の作業量は増加の一途をたどる一方で、労働力は40%減少しています。 このような環境下で、国税庁の職員は、コンスタントに日常業務をこなすだけでなく、データ法やその他のポリシーに準拠しているかどうかを確実にするために、契約書の誤りを修正することにも追われています。 そして、これらの調達プロセスの多くは、米国国税庁のさまざまなシステム上で手作業で処理する必要があります。 また、米国国税庁のみならず、連邦政府の400以上の政府機関が同様の課題に直面しています。
レガシーなシステムとプロセスによる課題に直面する多くの大企業と同様に、米国国税庁もデータ運用の改善に向けた革新的な方法を模索していました。 同様の調達コンプライアンスの課題に取り組むさまざまな官民の事例から、多くの組織が従来の手作業によるデータ処理のために、データ業務担当者一人当たり約7時間の生産性を失っていることが明らかになっています。
連邦政府の調達アナリストは契約書の作成という手間のかかる業務を担当しており、 複数のシステムやステークホルダーから情報を収集すると同時に、連邦の調達規則を遵守する必要があります。 大量のメールやフォルダから情報を探し出し、複数のページや何百ものデータフィールドに入力する過程で「住所は最新のものなのか、発注情報が有効かどうか、契約日は正しいか」など、 あいまいで不正確もしくは不完全な情報の解釈を迫られることは珍しくありません。
そういったケースでは、アナリストが第三者のウェブサイトでリファレンスチェックを行ったり、あるいはメールを送ったり、電話をかけたり、ミーティングの予定を組んだりしてデータの正誤を確認する必要あり、 どのような場合でも、限られた情報で最善の判断を下すために努力することが求められます。
アナリストが収集した新たな情報を検証する際は、上流工程から受け取ったすべての情報が十分に検証されていることを願うしかありません。 そして、長い一日が終わりに差し掛かった際に、明日分の新たな契約の大量のバックログがキューに入っていることに気が付くのです。 また、このようなプロセスを改善する方法はいく通りも考えられるものの、それにはソフトウェアの開発やデータエンジニアリングのためのリソースが必須だという思い込みもあったりします。 こうした方法は複雑すぎて、意義ある改善が見られるようになるまでには時間がかかりすぎると感じているのです。
Alteryxのパートナー企業であるResonantLogic社は、Pilot IRSプログラムでこうした課題への対処に向けて、概念実証(POC)を開発。 同社は、Alteryx DesignerとAlteryx Serverを活用し、米国国税庁の実用的な概念実証をわずか20日程度で開発することに成功しました。 このソリューションでは、以下のアプローチが用いられました。
接続
検証と有効性の確認
修正
通知
定型的なタスクとプロセスの自動化
他のシステムとの統合および接続
データ品質と透明性の向上