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マクラーレン・レーシングの事例に学ぶデータ活用のヒント

マクラーレン・レーシングのアナリティクスにおける成功の方程式とは?

テクノロジー   |   Andy MacIsaac   |   2022年10月17日

モータースポーツの最高峰として知られる F1 では、時速 400 kmにも達する超高速のレーシングカー同士が、世界 21 カ国、23 レースにおいて白熱のバトルを繰り広げます。その舞台裏で、多くのレーシングチームが他のビジネスと同様に多くの課題に直面しており、特にデータとアナリティクスはどのチームとっても避けられない課題となっています。 今回の INPUT ブログでは、マクラーレン・レーシングにおけるアナリティクスと研究開発の成功の方程式に迫るとともに、分析スキルの向上に役立つさまざまなヒントをご紹介します。

 

マクラーレン・レーシングの分析プロセスとは?

 

マクラーレン・レーシングでは、データサイエンス部門を通じて他のチームにツールや高度な分析機能を提供し、各分野のエキスパートが自ら分析を行うアプローチを採用しています。これにより、技術チームとレースエンジニアが、ドライバーのデータを調査し、車両力学の専門家がサスペンションやタイヤを分析し、戦略担当者がレース理論やライバルチームとのかけひきについて掘り下げるなど、各自が思いのままにデータを活用することが可能となっています。このように、各分野のエキスパートが自らデータにアクセスし、探索することのできるセルフサービスでの分析環境では、実にパワフルな成果を生み出すことができます。さらに、誰もが自分で簡単に素早く答えを出せるため、データサイエンティストがより多くの時間を確保し、さらなる成功につながる最先端のツール開発に集中できるようにもなりました。

 

マクラーレン・レーシングのモデル作成におけるアプローチは?

 

レーシングカーのモデルを作成し、温度やプレッシャーに耐えられるかどうかなど、ストレスや設計に関するテストを行っています。 シミュレーションには、数値流体力学、空力、すべてのサーキットの周回データが含まれますが、 これらはすべて仮想のものなので、 実際のサーキットでテストすると予想と大きく異なる挙動になる可能性もあります。

 

また、テストを重ねるうちに、複雑なモデルよりもシンプルなモデルの方が有効なことが多いという気づきも得られました。 モデルがシンプルであればあるほど、なぜそのような反応をするのかを理解しやすく、その結果、より良い解決策を導き出すことができるのです。

モデルを使用するさまざまな分野のエキスパートとコミュニケーションをとり、結果を解釈して必要なツールを見つけることで、モデルの改善を図っています。

 

アナリティクスから得た教訓とは?

 

F1 業界も他の企業と同様、さまざまな課題を抱えていますが、その中でもデータ文化の醸成は特にホットなテーマです。

 

社内でデータサイエンスを横断的に活用できるようにするためには、誰もがデータサイエンス、アナリティクス、機械学習の重要性と潜在的なメリットを理解し、認識する必要があると考えています。

 

また、この業界は研究開発の比重が高いため、短期的なプロジェクトと長期的な研究開発のバランスを取ることも重要です。 これまで試行錯誤したものの、うまくいかなかったり、うまくいっても投入したリソースに対して十分な効果が得られなかったりした取り組みがたくさんあります。 そこで、長期的なプロジェクトに取り組む前に、簡単なスクリプトを書いたり、データをテストしたり、結果を再現したりと、短期的な実験プロジェクトを数多くこなすように心がけています。 当社は、大規模なデータサイエンスチームを抱えていませんので、リソースの割り当てについては慎重に判断しています。

 

 

マクラーレン社のレース以外の分野でのデータ利用

当社の CEO であるザック・ブラウンは、「マクラーレンは、ファン、パートナー、メンバーという 3 つの柱で成り立っている」とよく口にしています。 私たちは、これら 3 つの柱のすべてにおいて、アナリティクスを活用しています。

 

F1 はファンなしには成り立ちませんので、ファンとの関わりは非常に重要です。 ですので、ファンがチームやソーシャルメディア、イベントにアクセスできる環境を常に整えたいと考えています。 また、パートナー企業とのパートナーシップも、双方にとって有益なものになるように努めています。

 

私たちのチームは、メンバーが大切にされていると感じられるような環境づくりに努めており、 その一環として、チーム内の雰囲気を把握するために、アナリティクスを活用しています。 チームを理解することは、レーシングカーを理解することと同じくらい重要です。 チームワークが良くなければ、速いレーシングカーを作り上げることはできません。

 

この 3 つの柱を大切にすることで、レースのパフォーマンスにプラスの影響が生まれていることを、ここ数年、強く実感しています。 レーシングカーを高速化とは無関係に見える取り組みでも、チーム全体の発展に大きな影響を与えることで、結果的にパフォーマンスを向上させることができるようになるのです。

 

 

マクラーレン・レーシングのトップデータサイエンティストが明かす「強さ」の秘密

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