データは現代ビジネスの生命線であり、マーケティング、営業、顧客サービス戦略の策定に欠かせない要素となっています。企業の成長と利益向上を目指すビジネスリーダーたちは、すべての重要な決定においてデータを中心に据えています。データは、単なる推測ではなく、事実や傾向に基づいた適格な意思決定を支援します。

優れたビジネスリーダーはデータラングリングを用いてデータをクリーンアップして、整理し、さらに価値を高めています。多くの先進的な企業がデータの多様化や非構造化に対処するために、データラングリングが不可欠だと考えています。データラングリングは、発見、構造化、クリーニング、エンリッチメント、検証、公開の6つのステップから成り立っています。今回は、データラングリングの4つ目のステップであるデータエンリッチメントについて解説します。

データエンリッチメント(data enrichment)とは?

データエンリッチメントとは、社内ソースのファーストパーティデータと、他の社内システムからの異種データ、外部ソースからのサードパーティデータを組み合わせるプロセスです。データエンリッチメントによって強化されたデータは、より有用で洞察に富み、どんな組織にとっても貴重な資産となります。多くの企業が、情報に基づいて意思決定を行うために、生のデータに対してデータエンリッチメントを行っています。2018年にはデータエンリッチメントの活用が80%増加し、今年もさらに増加すると予測されています。

顧客データは、ウェブサイトのトラフィック、ソーシャルメディア、メールリストなどのさまざまなソースから生のデータとして収集されます。しかし、顧客データが収集され、中央のデータストアに保存された段階では、まだ活用が難しい状態です。そこで、こうした生データをクリーニングして整理し、外部からの情報を追加してより有用なものへと変える作業であるデータエンリッチメントを行う必要が出てきます。データエンリッチメントにより、データに付加価値を与え、より有用なものにすることで、企業がそれらのデータを活用し、顧客や彼らの生活に対する理解をより良く深められるようになります。データエンリッチメントの手法は多岐にわたりますが、例えば社内の販売データにサードパーティーの広告データを加えて強化することで、広告効果をよりよく理解できるようになります。

データエンリッチメントの利点

データエンリッチメントを行うことで、企業の基盤強化に役立つ多くのメリットが得られるようになります。

  1. データエンリッチメントによるコスト削減
    Global Databerg社のレポートによると、ペタバイト規模のデータを保有する企業は、年間約650,000ドルをデータ管理に費やしていますが、そうしたデータは実際にはほんの一部しか利用されておらず、真の価値の獲得には至っていません。データエンリッチメントを行うことで、ビジネスにとって有益な情報のみを選り分けてコストを削減できるようになるだけでなく、内部データを外部データで強化し、組織に利益をもたらすために活用したり、本来データベースに使う予定だった資金を、他の有益な活動に充てたりできるようになります。
  2. データエンリッチメントによる顧客関係の強化
    エンリッチメントされたデータを用いることで、一人ひとりに合わせたコミュニケーションが強化され、顧客とのより深い関係や新たなビジネスの機会が生まれます。適切な顧客データによって、顧客の好みやニーズに沿ったコミュニケーション戦略を実践することで、顧客が自分のニーズを企業が理解していると感じられるようなり、購買へと至る確率も高くなります。
  3. データエンリッチメントで顧客育成を促進
    データエンリッチメントによって、特にサポートが必要な顧客グループを特定し、顧客育成を促進させることができます。顧客層をセグメント化し、価値ある情報を提供することで、顧客の購入意欲を高めることが可能になります。
  4. データエンリッチメントでターゲットマーケティングを強化
    多くの企業が、もはや画一的なマーケティングアプローチではうまくいかないことを認識しており、未来のマーケティング戦略としてターゲットマーケティングに注目しています。ターゲットマーケティングを成功させるためには、データエンリッチメントを活用し、顧客データを効果的にセグメント化することが不可欠です。
  5. データエンリッチメントによる売上向上
    顧客や見込み客を獲得するために、連絡先リストに巨額の資金を投じたものの、その連絡先リストが古くて使い物にならなかったとしたら、大きな損失となってしまいます。データエンリッチメントを行うことで、連絡先リストが正確で最新の状態に保たれるようになり、営業効率の向上やROIの改善が期待できます。また、適切なデータを保有し、顧客をよく理解することによって、クロスセルやアップセルの機会も増えます。
  6. データエンリッチメントで重複データを排除
    重複データは企業にとって大きなコスト負担となるばかりでなく、収益の損失、顧客離れ、評判の低下を引き起こしかねません。多くの組織で、手放すべきデータと残すべきデータがの判断が難しいことから、重複データの問題が生まれています。Alteryxのようなデータエンリッチメントツールを使用することで、不要な重複データを効率的に排除できます。生データにはデータの重複がよく見られ、データの品質に影響を及ぼしています。データエンリッチメントを行うことで、こうした問題を解消し、データの品質を向上させることができます。
  7. データエンリッチメントによる顧客体験の向上
    顧客は企業やブランドに対し、自分のことを理解し、ニーズを先読みし、適切な対応をしてくれることを望んでいます。データエンリッチメントは、顧客に関する特別な情報を提供することによって、顧客体験を向上させます。これにより、顧客のニーズを予測して対応し、一人ひとりのニーズに合ったマーケティングを行い、顧客の関心を引き続けることが可能になります。

データエンリッチメントプロセスの継続

データエンリッチメントは、他のデータラングリングプロセスと同様、一度行って終わりではありません。顧客データは常に変化しています。例えば、所得水準は絶えず変動しますし、婚姻状況も変化する可能性があります。人々は頻繁に移住するため、顧客の住所も変わるかもしれません。組織は、このような変化の可能性を踏まえ、データエンリッチメントを継続的に行っていく必要があります。もし企業が継続的なデータエンリッチメントを怠った場合、顧客に関連性のない情報やオファーを提供することになりかねません。最新のデータ準備ツールやソフトウェアを利用すれば、面倒な手作業を省き、データエンリッチメントのプロセスをより簡単かつ迅速にすることができます。

データ中心の現代社会において企業が成功を収めるためには、データエンリッチメントプロセスをうまく機能させることが不可欠です。データを活用して成果を挙げるためには、データそのものが実用的で、付加価値があり、理解しやすいものである必要があり、そのためにはデータエンリッチメントが欠かせません。データエンリッチメントを行う際には、企業がさまざまななアプローチで恩恵を受けられるように、ビジネスの目的やニーズに合った適切な戦略を選ぶことが大切です。

Alteryx Designer Cloudは、規模を問わず効率的なデータエンリッチメントを実現

Alteryx Designer Cloudを使用すると、多様なソースシステムからのさまざまなデータセットを迅速にブレンドし、エンリッチされた情報の品質を評価することができます。また、Alteryxは企業がデータエンリッチメントプロセスの品質やデータソースの変化を監視して、データの安全を最優先し、顧客の個人情報を保護するための機能も備えています。

Alteryxはデータ準備のリーディングカンパニーとして、データラングリングからデータエンリッチメント、データクリーニングに至るまで、あらゆるデータ関連業務を支援しています。Designer Cloudは、迅速かつ正確で直感的に操作できるデータ準備ルールの提供を通じて、皆様のデータエンリッチメントのニーズをサポートします。Designer Cloudを使えば、あらゆるデータソースからのデータセットを簡単に取り込み、多様なツールを用いて結合やルックアップ、集約などを行うことができます。Designer Cloudでデータを強化し、ビジネスデータの価値を向上させませんか?