社内の分析環境を整え、従業員によるデータ活用を促進
業種 : 化学
部門 : オペレーション
地域 : アジア太平洋地域
化学触媒の寿命を 40% 向上
予測分析による 収益増加
効率性の向上
Global Chemical (GC) 社は、タイ最大、アジア第 3 位の規模を誇る石油化学企業であり、川上から川下までの多様な石油化学製品の製造・販売を行う、多角的な総合石油化学事業を展開しています。同社の石油化学製品は、精製過程を経てさまざまな化学製品へと形を変え、包装材、アパレル、通信・電子機器、電気器具、自動車、建設資材、エンジニアリングプラスチック、農業機器などの下流産業における基礎原料として活用され、人々の日常生活を支えるとともに、生活をより便利で快適なものにしています。
イノベーションとテクノロジーにたゆまない情熱を注ぐ GC 社では、よりデータ主導型の組織へと移行する必要性を感じていました。同社のビジネスの 7 割がエンジニアや化学プラントに集中していることから、データとアナリティクスのリーダーたちは、化学プラントのオペレーションを変革への取り組みの出発地点としました。
エンジニアたちは当時、さまざまなサプライヤーからの複雑なデータをつなぎ合わせて分析を行っており、それはドミノ倒しのように規則正しく起こる化学反応のようにうまくいくものではありませんでした。
GC 社は、デジタルトランスフォーメーションの推進にあたって、以下の 3 つの側面に重点を置きました。
社内の分析環境を整え、従業員によるデータ活用を促進
自動化により、手作業の煩雑なプロセスを解消
高度な分析で有益なインサイトを迅速に提供し、より良い意思決定を実現
石油の精製プロセスにおいて、石油原料の化学反応を高速かつ大規模に促進する触媒は欠くことのできない存在です。そして、触媒には、異なるアプローチによって、多様な化学反応を引き起こすというユニークな特性もあります。当時、GC 社のチームは、この触媒の保守や交換のタイミングにおいて課題を抱え、従来の方法からの脱却を試みていました。
GC 社のトランスフォーメーションエクセレンス担当 SVP である Chatsuda Kanjanarat 氏は、次のように語っています。「いつも一定の間隔で化学触媒を交換していました。それ以外の方法が思いつかなかったからです。こうした現状を打破するツールと専門知識を求めて、Alteryx に注目しました」
こうして Alteryx は、GC 社における変革の触媒となりました。そして、その変革は、組織の 7 割を占めるエンジニアチームからスタートしました。Alteryx の導入当初、同社のエンジニアチームは、5 年間隔で行われる大がかりな触媒の保守・交換のプロセスを改善するソリューションを模索していました。そして、必要なデータを集めて Alteryx で分析したところ、触媒の寿命を最大 40% 延ばせることが判明しました。この発見により、高品質な製品を生産しながら、ビジネスリソースを効果的に節約することが可能となりました。
GC 社のエンジニアチームは、1 年以上にわたって Alteryx による自動化を推し進め、それによって得られるようになった数々のインサイトを、組織全体の競争力の向上に役立てています。GC 社ではオレフィンとフェノールの生産も得意分野としており、その生産においては大量の化学原料 (未加工の石油原料) が必要となります。これまでの学びと Alteryx の予測ツールを活用することで、同社のエンジニアは化学物質の生産量 (収率) を予測し、原料の購入についてより適切な判断を下すことができるようになりました。
この実現に向けて取られたプロセスは、CRM や ERP などのさまざまなシステムから、売上、生産、価格データ、工場の稼働状況などのデータを集約し、誰もがこれらのデータを使って高度な分析を行い、より有益な知見を得ることができる分析環境の構築でした。また、工業合成の中間体として使用される有機化合物であるフェノールの価格を予測するモデルの作成を目標として、1 年間にわたって以下のような概念実証を行いました。
エンジニアチームは、19 個のパラメーターを用いて Python による線形回帰モデルを作成し、次に Alteryx でランダムフォレストモデルを構築しました。これにより、最大 50 個のパラメーターを使用して、95% 以上の信頼区間、エラー率 2.6% という高い精度を備えたモデルの構築を実現しました。
Alteryx の導入以前は、原料は必要に応じて購入されており、戦略的な購買アプローチは取られていませんでした。今では、原料の最適な購入タイミングや購入量を把握し、生産量を予測して、革新的かつ環境に優しい方法でビジネスに新たな価値を生み出すことができるようになりました。さらに、この新たなプロセスの導入により、フェノール事業において 150 万ドルの増収が達成されました。
GC 社では、今後メタノールとプロパンの生産においてもイノベーションを推進し、Alteryx の導入を他部門にも拡大し、2021 年 9 月にはフェノールの価格予測モデルを正式に稼動させる予定となっています。また、分析環境のさらなる改善や整備を全社的に推し進めるとともに、「Data Day」や「データ活用事例紹介」などの社内イベントを開催することで、従業員のデータ活用の継続的なスキルアップを支援しています。