Brian Vinson氏
Resultant社 クライアントサクセスリーダー
成功しているスポーツ組織は、データ分析が優れたファン体験を生み出すための鍵となることをよく知っています。テキサスレンジャーズの事業運営チームは新スタジアムの建設時に、データ戦略の刷新を目的として、コンサルティング会社のResultant社に支援を求めました。そして、Alteryxを導入し、スタジアムの正確な運営予測、駐車場の混雑状況の把握、ナチョスの売れ行きが最も好調な売店の特定にいたるまで、あらゆる情報のリアルタイム更新を実現することで、毎シーズン足を運びたくなるような最高のファン体験の提供を目指しました。
レンジャーズの事業運営チームは、新スタジアムが建設される5年ほど前から、意思決定に必要となるデータを収集し、分析していました。当時のデータは、バラバラの情報ソースから収集されており、更新頻度もまちまちだったため、分析に時間がかかるだけでなく、精度にも問題がありました。
最先端のテクノロジーを結集した新スタジアムでは、ファンがよく出入りする入り口からトイレのトイレットペーパーの在庫まで、以前のスタジアムでは不可能だったあらゆるデータが生成されるようになりますが、チームは、既存のシステムとその利用に伴なう手作業のプロセスでは、今後生成される膨大な量の新しいデータの処理に対処しきれないと感じていました。
そこで、レンジャーズの少数精鋭チームは、堅牢でスケーラブルなデータ分析環境で新スタジアムの運営をサポートすることを目指し、Resultant社にノウハウの提供を依頼しました。
「将来を見据えたガイダンスを必要としていました」と、テキサス・レンジャーズの事業運営分析システム担当マネージャーであるMachelle Noel氏は語ります。「Resultant社とは以前からパートナーを組んでおり、これ以上ない適任であることは明らかでした。」
そして、Noel氏とチームは、Alteryxの導入により、以下のようなデータ戦略の実現を目指すこととなりました。
Resultant社は、Alteryxを通じてローコード・ノーコードのソリューションを提供し、レンジャーズのデータ分析チームのさまざまなニーズに応えました。Alteryxでは、使いやすいインターフェイス上で複雑なデータ分析が簡単に行えるだけでなく、ツールに自己文書化機能が備わっているため、ワークフローでの共有やコラボレーションをシームレスに行うことができます。
Resultant社は、レンジャーズがデータと分析ソリューションを拡張・実装する計画を立てるための支援の一環として、戦略的データ評価(SDA)を実施しました。SDAは、以下のような組織におけるデータの課題と領域を体系的かつ総合的に評価するために欠かせないステップであり、よりインパクトのある変革の実現に役立ちます。
評価終了後に、Resultant社は事業運営チームに以下の推奨事項を含む詳細なレポートを提出しました。
インフラ
新スタジアムには最先端のオンプレミスのインフラが整っているため、そのインフラへの接続をすべて最適化できれば、レンジャーズのニーズを完璧に満たすことができる(つまり、クラウドへの移行は無意味)。そこでResultant社は、テキサス・レンジャーズがAlteryx DesignerとAlteryx Serveを導入し、API経由で各クラウドアプリケーションからデータを抽出し、オンプレミスのインフラストラクチャにデータをロードできるように支援した。
最新のデータアーキテクチャと構造
Resultant社が全クライアントに対し優先事項として取り組んでいる、最新のデータアーキテクチャと構造を導入すれば、これから激増するであろうデータ量や種類に対処し、効率的かつ効果的にデータを取得、処理、保存し、今後の成長にスケーラブルに対応できるようになる。
データレイク
Alteryx DesignerとAlteryx Serverの導入によって、データレイクへのアクセスを効率化し、データの信頼性、正確性、適時性を維持するより良い方法をステークホルダーに提供できるようになる。
手動プロセスの自動化
Alteryxを使えば、レンジャーズの試合当日の運営プロセスの大部分を効率化および自動化し、データ分析を高速化し、駐車場、チケットのスキャン、売店の売上、小売の販売ボリュームなどに関するほぼリアルタイムのレポーティングを行い、今後のさらなる拡張にも対応できるようになる。
包括的なロードマップ
Resultant社と事業運営チームとで、目標や制約に関する入念なすり合わせを行い、包括的なロードマップ、プロジェクト計画、予算を共同で作成。成功の基準を明確化し、実現可能な複数年の投資スケジュールを概説することによって、イニシアティブに対する経営陣の賛同を取り付けられた。
2020年は誰もがこれまでにない困難に見舞われた1年であり、グローブライフ・フィールドの開幕シーズンに向けて入念に計画された諸活動は、COVID-19の蔓延によって中止に追い込まれることとなりました。
しかし、データ基盤の構築に力を入れていたNoel氏のチームは、こうした前例のない状況を最大限に活用するために事業運営を方向転換させました。スタジアムは本来の目的では使用されなかったものの、ツアーやその他の小規模なイベントを実施し、それらの事業や他の業務から得られたデータを、シーズンチケットの売上、 DoppleRanger の売上、財団への寄付金などに活かしたのです。そして、 2020年ワールドシリーズと呼ばれる小規模イベントを開催し、スタジアムの最大収容人数の25%までという制限がありながらも、ファンを受け入れることが許可されたとき、レンジャーズの事業運営チームは万全の体制でファンを迎え入れることができました。
野球の運営データにおいて特にやっかいな点の1つは、野球は時間を競い合うスポーツではないということです。データ分析の際には、時間ではなく試合での出来事を追う必要があり、試合終了の時間も一定ではないことから、旧スタジアム時代には、夜遅くまで試合の終了レポートを作成しなければなりませんでした。そして、使われているデータシステムもバラバラだったことから、手作業でのレポート作成が難航し、徹夜での作業となることも珍しくありませんでした。
しかし、現在では、試合の終了後1時間以内にレポートが自動生成されるだけでなく、試合中にほぼリアルタイムのアップデートが生成され、共有できるようになりました。
Resultant社とAlteryxのソリューションによって、収益の最大化やファン体験の向上に役立つさまざまなインサイトが得られるようになったことから、運営チームは、試合の状況に応じてスタジアムのどのエリアが最も混雑しているかを把握し、スタッフ、販促品、売店のリソースをより適切に配分できるようになりました。また、飲みこぼしの清掃、座席の破損、医療サポートなど、速やかな対応が求められる事項に対しても、独自の指標と視覚化によって問題が起こっている場所をすぐに特定できるようになり、対応速度が大幅に改善しました。現在では運営チームの誰もがセルフサービスで、2番目に売れ行きが良かった帽子から、売店別での人気のソフトドリンク、1分間で売れたホットドックの本数まで、あらゆる情報を正確かつほぼリアルタイムで把握しています。
グローブライフ・フィールドでの最初の試合終了レポートを経営陣に報告した後、球団オーナーからぜひ配布資料に掲載したいとリクエストがありました。それ以来、他部署からもデータ関連のサポートを求められるようになり、積極的に協力しています。そうした他からのリクエストに快く対応できるようになったのは、AlteryxとResultant社のソリューションによって効率化が叶い、試合後のレポート作成の負担が軽減されたからこそだと言えます。
テキサス・レンジャーズの事業運営チームは、データ戦略の強固な基盤を構築し、何が実現可能かを常に追求し続けることで、データドリブンなカルチャーの醸成を促し、他に先駆けて模範となることによって、組織のさらなる可能性を切り拓いています。